花粉症の痒みを軽減
はじめに
花粉性アレルギー性結膜炎の症状でお困りの方へ
花粉症の初期療法として、花粉が飛散する前から抗アレルギー薬を使い始めるのが効果的といわれます。ところが、いちど急性期の激しい目のかゆみが起こってしまうと、マスクやゴーグルしても効果はなく点眼薬や内服薬でもかゆみを止めることは困難です。 眼科医にとっても、お薬を処方するほかに今までは有効な治療法がありませんでした。
でも、
◎眼科で点眼(めぐすり)や内服(のみぐすり)を処方されたが目のかゆみが止まらない。
◎ステロイド剤(点眼も内服も点鼻も)を出来れば使いたくない。
◎抗アレルギー剤を内服すると眠気が強くて仕事や勉強に集中できなくなる。
◎いろいろ試してみたが、やっぱり目がかゆい。
特に内眼角(めがしら)の奥が、たまらなく かゆくなる症状には、当院が発表した新しい治療法が有効です。
治療方法
「涙道内注入法によるアレルギー性結膜炎治療」と言う名前の治療法です。
○患者さんには、ベッドで仰向きになってもらいます。
○目の縁の鼻寄りから鼻の奥に通じる細い管(涙道)にお薬を流します。
○鼻の奥から喉に少量のお薬が流れますが、痛くはありません。
○眼科で一般に用いるお薬(抗アレルギー点眼)を調整して用いるので、安全です。-細かな手技や、薬剤の濃度、投与量等には細心の注意を払っています-
○治療は5分間ほどで終わります。
効果
◎初めて治療を受けられた直後から症状の改善する方が多いです。
◎治療後に何もしなければ効果が続くのは数日間ですが、この間にも点眼を継続して併用すれば、その後も元の症状に戻らないようにできます。
◎数回の治療を受けて頂ければ、花粉症のシーズンを比較的楽に乗り切ることが可能です。
メモ
本治療に用いる医薬品のひとつ「フマル酸ケトチフェン」が、2007年からOTC医薬品(一般用医薬品)の第一類医薬品に指定されました。
これを成分にした点眼薬はアレルギー性結膜炎に対して効果が期待できますので、「涙道内注入法」治療を受けられる前に予め使用されることをお勧めします。(「アイリスAGガード:大正製薬」「ザジテンAL点眼薬:ノバルティスファーマ」「スットアイズZ:奥田製薬」等は、フマル酸ケトチフェンを含みます。)
資料
たはら眼科が提唱し実施している「涙道内注入法による....」治療は、即効性でしかも高い効果が得られています。(詳細は、「あたらしい眼科」に掲載されています。)
涙道内注入による治療でよくある質問集
Q:痛くない? A:麻酔や鎮痛剤は使いません。痛くないです。むしろ、かゆみの強い患者さんは気持ち良いと言われます。
Q:副作用は? A:使用する薬剤の種類や、量、濃度、投与方法など安全に注意をしています。治療を始めた2003年から現在まで副作用と思えるものはありませんでした。もちろん、ステロイド剤や免疫抑制剤等は使用しません。
Q:治療の時期は? A:予防効果のデータはまだありません。むしろ、点眼薬を使っていたにもかかわらず目がかゆくなってしまった方に受けていただきたいです。
Q:同様の治療は? A:過去の論文を検索し、また多くの先生方に伺いましたが、同様の治療は見当たりませんでした。おそらくアレルギー性結膜炎の治療では初めての方法です。
Q:他の施設でも治療を受けられる? A:医療行為に当たるため、医師でなければできない治療です。しかし、治療内容は眼科医学誌に発表しましたので、お近くの眼科でご相談ください。詳細は、「あたらしい眼科」(株)メディカル葵出版 2003年11号に掲載されています。
Q:めぐすりや、飲みぐすりよりよく効くのはなぜ? A:目から鼻にかけての、従来は薬剤の届きにくかった場所に薬剤を直接作用させるからです。その場所から、かゆみを伝える神経をブロックすると考えられています。(詳しく知りたい方は、次項目をご覧ください。)
Q:鼻の症状が強い場合は? A:この治療だけで鼻炎が軽くなる患者さんもおられますが、治療後に点鼻薬の併用をおすすめします。
Q:治療の効果が続く期間は? A:処置直後から2日~5日間効いている方が多いですが、シーズン終了まで軽い症状で経過した方もおられます。効果は一時的ですが、しっかり効く感じです。(詳しくは次項目)
Q:効果は誰もが同じ? A:中等度以上に改善し効果が認められた患者さんは73.5%でした。軽度改善を含めますと91.2%の方に満足してもらえました。内には、驚くほどに効く患者さんと残念ながら効き目のない患者さんもおられます。でも、今までに、治療で悪くなったケースはありませんでした。
Q:治療の費用は? A:健康保険外(自費)の診療になります。眼科一般検査と涙道内注入の処置を含めて、当院では5千円程を目安にしていますが、投薬内容によって前後します。
Q:何も治療をしていないのですが A:この治療は、既に点眼や内服の治療を受けておられる患者様が対象です。診察の際に投与されているお薬を確認させてください。 また、初診の方へは点眼のみで様子を見て頂くこともあります。 「医薬品の保険適用外使用」と「保険適用にならない治療方法」であるために、また「混合診療の禁止」の決まりから、自費診療とさせて頂きます。
Q:混合診療の禁止とは? A:健康保険の規定に、「初診から治療の終了にいたる一連の診療行為の中に、保険のきく診療行為と保険がきかない診療行為とを混在させてはならない」というがあります。このため、少しでも保険がきかない治療を併せて受ければ保険のきく治療分も含めて全額を自己負担で支払わなければならなくなります。